読まれないのではなく、開く場面が分からない
社内の文書は、たいてい主題ごとに並んでいます。「値引きの基準」「与信の考え方」「返品対応」。 ところが現場で起きるのは主題ではなく場面です。たとえば「見積を出す直前に、相見積だと分かったとき」。 この場面から主題名にたどり着けるのは、すでに答えを知っている人だけです。 だから、知っている人に聞くほうが速い——それは怠慢ではなく、合理的な判断です。
いま
現場で起きたこと
「見積を出す直前に、相見積だと分かった」
↓ どの紙を見ればいい?
- 値引きの基準
- 与信の考え方
- 返品対応
主題の名前しか書いていない=
答えを知っている人にしか引けない
→「あの人に聞いて」
場面の言葉で並べ直す
現場で起きたこと
「見積を出す直前に、相見積だと分かった」
↓ 同じ言葉が見出しにある
- 相見積だと分かったとき
→ 値引きの基準(3.2) - 新規で与信が読めないとき
- 納品後に不具合が出たとき
起きた出来事の言葉で引ける=
本人が自分で確かめられる
図:同じ中身でも、見出しが「主題」か「場面」かで、たどり着けるかどうかが変わります。
質問の履歴が、いちばん正確な目次になる
何を書き足すべきかは、想像で決めなくて構いません。 チャットやメールで実際に飛んできた質問を1〜2か月ぶん集め、場面の言葉のまま見出しに変える。 それだけで、どの場面が何度も繰り返されているのかが目に見えます。 ここまでは紙でもできますし、道具を入れる前にやっておくほど後の工程が短くなります。
エースから「奪う」設計にしない
属人化をなくす、という言い方は、いちばん詳しい人にとっては自分の価値を削る話に聞こえます。 目的は、その人が居なくても回ることではありません。 その人が同じ質問に何度も答えなくて済むようにすることです。 棚卸しの席で先にそう伝えておくと、出てくる情報の細かさが変わります。 「これは書いてもいい/これは口頭で」という線引きも、本人に引いてもらうほうが速く、後で揉めません。
今週できる3つ
ここだけ持ち帰っても回ります。順番どおりにやるのが、いちばん速い。
1
聞かれたことを、原文のまま20件書き出す
直近1か月ぶん。言い回しを整えないのが大事です。整えた瞬間に、現場が実際に使っている言葉が消えます。
目安30分/材料=チャットとメールの履歴
2
主題名ではなく、場面の言葉で見出しにする
「値引きの基準」ではなく「相見積だと分かったとき」。20件を並べると、繰り返し起きている場面が数個に収まります。
目安60分/同じ場面はまとめて1本に
3
根拠が「どの文書のどこ」にあるかを1行添える
答えそのものを書き直す必要はありません。出典が付いていれば、読んだ人が自分で確かめられます。
目安30分/ここまでが社内AIの材料になる
ここまでが、そのまま社内AIの材料になります。 道具を入れてから中身を整えるより、整えたものを道具に引かせる順番のほうが、結局は早く着きます。 答えに出典が付いていれば、読んだ人が自分で確かめられる——それも、聞かれる回数を減らす側に働きます。