受領の連絡は、先方の手続きが動いた知らせ
「受け取りました」「社内で共有します」「結果は追ってご連絡します」。 ご提案のあとにこうした返事が届くと、こちらが動いた直後ほど「前に進んだ」と読みたくなります。 けれどこれは多くの場合、先方の手続きが動いた知らせであって、検討の中身が動いた知らせとは限りません。
当社も、こうした連絡を「反応あり」と数えていた時期がありました。振り返ると、その連絡のあと話が進まなかった案件がいくつもあり、 提案から次の段へ進む割合を、実際より高く見ていたことになります。 SFAで商談の段階を設定していても、入れる言葉がそろっていなければ同じことが起きます。
理想は、提案の場で次の打ち合わせ日と判断の時期を決めて帰ることです。それが取れていれば、受領の連絡を読み違える余地はほとんどありません。 この記事が扱うのは、それが取れないまま一覧に残っている案件のほうです。
同じ返事を、2つの場面で逆に扱う
難しいのは、同じ返事でも使う場面によって扱いが逆になることです。
1つは次の一手を打つかどうかの判断です。返事をくださった相手に、無反応の相手と同じ追いかけを重ねるのは失礼になります。 ここでは「返事あり」として扱い、督促は重ねません。先方が時期を示していればその時期を過ぎてから、示していなければ決めた期限の手前で、判断の時期だけを1回尋ねます。
もう1つは前に進んだかどうかの判断です。ここでは受領の連絡を数えません。 当社は記録の言葉も分けて、「反応あり」ではなく「受領の連絡で待ち」と書くようにしました。 前に進んだと数えるのは、先方が動く具体的な日(打ち合わせや判断の会議)・会う人・金額・条件のどれかに触れた返事だけです(お断りの返事は除きます)。「来週、担当役員を交えて話を聞きたい」は前進、「社内で共有します」は待ち、という線引きです。 判断の時期を尋ねて「来月中に結論を出します」と返ってきた場合も、前進には数えず、待つ期限をその時期に書き直すだけにします。
以前の流れ
先方から何か返ってきたら
すべて「反応あり」
↓ 決着の日を決めないまま待つ
- 受領の連絡も、中身のある返事も同じ欄
- 「検討中」が、いつまでも一覧に残る
- 見込みの数字に、止まった案件が入ったまま
進んでいる案件と止まっている案件の区別がつかない
変えたあとの流れ
返事を
「受領」と「中身のある返事」に分ける
↓ 待つ日数を、案件の種類ごとに決めておく
- 受領の連絡なら、督促は重ねず前進にも数えない
- 期限の手前で、判断の時期だけを1回尋ねる
- 最後の中身のある返事から決めた日数を過ぎたら、見込みから外す
- 閉じた案件は、理由を添えて訪ね直す名簿へ
見込みの数字に、動いている案件だけが残る
図:返事の数え方を分け、待つ期限を先に決めておきます。
早く閉じすぎる失敗と、いつまでも残す失敗
決着の物差しが無いと、失敗は2つの方向に起きます。 1つは、先方の手続きの区切りを見ただけで早々に閉じてしまい、まだ話が続けられた案件を手放すこと。 もう1つは、返事が無いまま何週間も「検討中」の箱に置き続けることです。
当社自身が扱うのは、単発で検討期間の短いご提案が中心です。そのため、待つ日数は5営業日を目安にしています。 ただ、この日数は取引によって大きく変わります。稟議や決算期をまたぐ取引なら、数週間を見込むのが自然です。 大事なのは日数そのものより、起点を「最後の中身のある返事」の1つにそろえ、過去の受注から案件の種類ごとに日数を1つ決めておくことです。決めておけば、案件ごとに「もう少し待つか」を迷わずに済みます。
ここでいう決着は、失注ではなく、見込みの数字から外すことです。あとから中身のある返事が来たら、その日から前進として一覧に戻します。
今週できる3つ
ここだけ持ち帰っても、最初の一歩は踏めます。3つ目は5分で終わります。
1
「検討中」を、最後に中身のある返事が来た日で並べ直す
受領の連絡は日付に入れません。並べ直すと、止まってから長い案件が一覧の上に出てきます。
目安20分/材料=いまの案件一覧
2
直近の受注5件で、返事がいちばん長く途切れた日数を見る
受注できた案件でも、中身のある返事が途切れた期間はあります。その最長が、待つ日数を決めるときの目安になります。種類によって大きく違うなら、分けて見ます。
目安15分/材料=直近の受注5件の記録
3
「前に進んだ」と数える返事を、一覧の上に1行で書く
打ち合わせの日・会う人・金額・条件のどれかに触れた返事だけ、のように書きます。次の提案からは、その場で判断の時期を聞いて一覧に書き添えます。
目安5分/材料=1で並べ直した一覧
決めたあとに崩れやすいのは、3つの所
並べ直しと線引きまでは、社内で始められます。SFAに段階の基準や停滞の通知が付いていても、そこへ入れる言葉と基準をそろえる作業は残ります。 道具の外で起きる崩れ方は、主に次の3つです。
- 線引きの例外が増えていく。「この返事は前進か」の判断が人によって分かれ、いつのまにか元の「反応あり」に戻っていきます。
- 閉じる判断が、見込みを守る方へ傾きやすい。見込みの数字が評価や予算とつながっていると、閉じれば数字が減るため、「もう少し待つ」が選ばれやすくなります。責任者自身が見込みの当事者で、ほかに点検する人がいない組織ほど、この傾きは見えにくくなります。
- 閉じた案件が、閉じたまま終わる。見送りになった先も、取引が途絶えた休眠顧客も、時期と材料を変えれば訪ね直せる相手です。いつ・誰が・何を持って訪ね直すかが決まっていなければ、名簿は作っただけで終わります。
当社が営業・組織の仕組み化パートナーとしてお受けしているのは、見込みの数字を正確に保つ営業基盤づくりです。 現場の案件一覧を拝見して「検討中」の中身を仕分け、前進の線引きと待つ日数を関係する方々と1つにまとめます。 月2回の定例では、物差しから離れ始めた案件と、閉じる判断が先送りになっている案件を、見込みの数字に利害の無い外の目で一緒に点検します。 閉じた案件と休眠顧客を訪ね直す順番と材料を決める掘り起こしは、その続きとしてお受けしています。
